MRI装置(磁気共鳴画像診断装置とも言います)とは、磁気と電波を利用し体内の状態を画像化する装置です。 MRIは様々な疾患の診断に用いられます。整形外科領域では、軟部組織(脊髄神経・椎間板・靱帯・腱の損傷や断裂・腫瘍など)の撮影が中心です。皮質骨を撮影することはできませんが、海綿骨や骨髄の撮影も可能です。これらを画像化することで、病気やけがの部位や広がり・状態など診断に有用な情報を得ることができます。また、レントゲン検査で分からない骨折(不顕在骨折)や損傷もMRIで診断できる場合もあります。特に椎間板ヘルニアや靱帯損傷、半月板損傷などの診断には欠かせないものです。
CTとの違いは
X線を使ったX線CTでは放射線は体内を通過し、背後にある検出器に感知されるのに対して、MRIではRFパルスが体内に伝わり、体内から発生する信号を受信するため、X線被爆がないという利点があります。また、X線CTで得られる画像は横断面(体を上下に分ける面)のみであるのに対しMRIでは横断面、矢状面(体を左右に分ける面)、冠状面(体を前後に分ける面)の画像を得ることが出来ます。
身体への影響
MRIは放射線を使わないため、被爆はなく非侵襲的ですが、X線CTと比べると検査時間は長くなります。また検査中、傾斜磁場を印加したときに騒音が発生します。
検査時間
一回のスキャンで10分以上かかる場合があります。検査中は動かないようにして下さい。また、途中で気分が悪くなりましたらすぐにお知らせ下さい。
造影剤は使いますか
MR造影剤は病変の検出、病巣の進展範囲の明確化などを可能にし、診断能の向上に寄与します。現在、承認を受けているMR造影剤は高い安全性を示すとされていますが、その投与によると思われる様々な副作用(全症例の1%以下)も報告されています。副作用の発現には次のような危険因子の有無が影響することが知られています。
- MR造影剤副作用歴
- X線ヨード造影剤副作用歴
- アレルギー歴
造影検査時には予め副作用発現因子の有無を担当医師にお知らせ下さい。
検査を受けられない方
強磁場を利用した検査ですので磁性体(心臓ペースメーカー、体内神経刺激装置、骨成長刺激装置、体内自動除細動器、人口内耳、頭蓋内動脈クリップなど)を身につけている方は検査することが出来ません。
注意点
一般の化粧品やパーマネントアイライナー、また入れ墨などには金属粉が含まれているため、MRIを行うとRFパルスによる昇温の影響を受けます。従って、落とすことの出来ない入れ墨やパーマネントアイライナーをしている方は検査を控える必要があります。また化粧は落としてから検査することが望ましいとされています。
金属製品、特に重量の重いものほど磁場の影響を強く受けるため、ハサミ、ドライバー、ペンチなどは絶対に検査室内に持ち込まないで下さい。またキャッシュカードやクレジットカードなどの磁気カード、カメラや時計などの精密機器を持ち込んだ場合、その後の使用は出来なくなりますのでご注意下さい。