「治す医療」から「治し、支える医療」へ・・・センターをより充実します
2019年5月につくば難聴めまいセンターおよび耳鼻咽喉科・頭頸部外科を開設し、守谷市のみならず全県下、千葉、埼玉などから患者さんが数多く受診されています。さらに他の医療機関からも難聴、めまいの患者さんが精査や治療のために紹介されています。大変ありがたく思っております。2020年10月には高度難聴患者さんに人工内耳埋め込み手術を行い、会話の獲得、職場でのコミュニケーションの改善が得られています。薬物治療にかかわらずめまい発作を繰り返す、難治性メニエール病患者さんの受診や紹介も急増しており、内リンパ嚢開放術などの手術的治療や茨城県で最初に開始した中耳加圧治療により、多くの患者さんがめまいから解放されています。
目標1:「治す医療」から「治し、支える医療」
超高齢社会となり、人生を豊かに送るために感覚器の健康が極めて重要です。人間の五感は、見る、聴く、匂う、味わう、触るですが、それに加えて身体のバランス(平衡覚)の六感が正常に機能して初めて日々の生活をエンジョイできると思います。私どもの診療科はこの六感のうち、4つ感覚を扱っています。難聴がある場合には認知症に約5倍かかりやすくなると報告されており、認知症の発症初期にはふらつきが出現し、さらにアルツハイマー病の初期に嗅覚障害が発症することもわかってきました。感覚器の障害を早期に発見し、適切な支え、つまり「支援医療」が極めて重要だと考えます。当科ではめまい・ふらつきに対して、めまい専門外来での精密検査およびリハビリ指導、難聴患者に対しては聴力改善手術を実施し、高度難聴に対する人工内耳埋め込み手術を行っています。さらに補聴器専門外来(患者数の急増で現在週3回実施)では難聴高齢者に対する補聴器の適切なフィッティングを行い、多くの患者さんが会話を楽しめるようになっています。
目標2:食べることをあきらめない Never give up eating!
肺炎は死亡の3大原因の一つであり、高齢者肺炎の70%以上は誤嚥性肺炎です。最後までおいしいものを食べたいというのはすべての人の望みだと思います。高齢者における嚥下障害の改善と誤嚥性肺炎を予防する目的で、当科ではリハビリ科と共同で、外来や入院患者の嚥下検査を行っています。嚥下状態を正しく正確に評価することにより、食べる訓練・リハビリを適切に行い、介護食の選択などを指導し、食事を楽しめる患者さんが増加しています。