鼠経ヘルニアとは?
鼠経ヘルニアは、腹壁に生じた筋肉の脆弱部位から腹腔内の腸管、脂肪が飛び出す状態のことです。足の付け根のふくらみ、痛み、違和感などの症状が生じます。自然治療は望めず、治療には手術が必要です。
鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の手術法とは?
鼠径ヘルニア・脱腸は、薬では治療できません。治療法は手術だけです。
当院では腹腔鏡下鼠径(そけい)ヘルニア手術(TAPP法)を中心に治療をしております。患者さんの状態によっては、鼠径部切開メッシュ法を行います。手術の方法は異なっても、筋肉の脆弱部位を補強し修復するという目的は同じです。
鼠径部切開メッシュ法は、下腹部に5~6cm程切開して治療します。手術後はある程度の痛みや比較的強い突っ張り感がしばらく続く場合もあり、一般的には1ヶ月程激しい運動禁止制限がかかります。一般的には腰椎麻酔・局所麻酔での手術となります。
腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(TAPP法)は、基本的に非常に小さな穴から内視鏡を使用しお腹の中から治療する手術です。全身麻酔で眠っている間に1~2時間で手術は終了します。傷が小さいことから、手術後の痛みは少なく、最小の切開創で手術を行いますので、傷跡はほとんど残りません。術後の回復が早く手術後の痛みが極めて少ないことが特徴です。手術後3~5日目にはゴルフやジョギング、畑仕事などが開始できます。
TAPP法とは?
お腹に3か所の孔(あな)を開け二酸化炭素のガスを入れ、カメラを挿入してお腹の中の映像をテレビモニターで見ながら、他に2か所の傷(創:そう)をつけて、ここから棒状の器機(鉗子:かんし)をお腹に差し込んで手術するのが腹腔鏡下ヘルニア修復術です。
腹腔内から観察するため、ヘルニアタイプの診断が容易であり、症状のない反対側のヘルニアも診断が可能です。腹腔鏡を用いてヘルニアの穴を確認して、腹膜と筋肉の間、腹膜の外側にポリプロピレン製の補強材、メッシュを固定します。腹腔鏡手術では鼠経部のヘルニアになりやすい4つの弱い部分(内鼠径ヘルニア、外鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア、閉鎖孔ヘルニア)を1枚のメッシュで全てしっかりと覆う事が出来ます。
TAPP法のメリット・デメリット
・術後早期の疼痛が軽減します ・創が小さく目立ちにくいです ・術後早期の社会復帰が可能です ・複雑なヘルニア(合併する複数種のヘルニア、反対側のヘルニア)の診断が容易です ・両側ヘルニアでも同一創での手術が可能です ・必ず全身麻酔で行う必要があります
入院期間
入院期間は、基本的に2泊3日程度です
手術前日に入院していただき、手術翌日に退院となります。退院後はシャワー入浴が可能です。
費用
患者さんによっては高額医療費の対象となります
一つの医療機関(入院・外来別)で同月内に支払う医療費の自己負担額(食事の費用・自費分は除く)が高額になった場合、患者さんの所得に応じた金額に軽減されるものです。健康保険組合や国民健康保険の窓口で申請いただき、交付された限度額適用認定書・標準負担額減額認定証を窓口に提示頂くか、専用のオンラインシステムで確認が可能となっていますので、ご希望の方はお申し出ください。