ハートラインNo.15 お鼻から胃カメラ?

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みなさん、胃カメラに対してどんな印象をお持ちですか?そう聞かれるとほとんどの人は『胃カメラなんか嫌だ、辛いし苦しいもの。』と答えるのではないでしょうか。その理由として口からカメラを入れる際に『ゲッ!!』となってしまうことがあげられます。検査中ひとりゲーゲーしている自分の姿・・・想像したらもう耐えられません。 では『あんな苦しい胃カメラは、一生受けないぞ。』と何人の方が自信を持って言えるでしょうか?残念ながら今の時代はそうもいかないようです。この世知辛い世の中では胃が痛くなることもよくあるでしょう。この高齢化社会では、年をとるほどに検査を受ける機会が増えるものです。 そこで最近の話題をひとつお話しします。実は胃カメラを鼻から挿入する方法が普及しつつあるのです。専門的には経鼻内視鏡と言われるもので、直径6mm弱ほどの細いカメラを用います。今までのカメラが9~10mmですから、かなり細くなりました。 この細いカメラを薬で広げた鼻腔から挿入することで、舌の奥に触れて起こる咽頭反射が出にくくなります。あの『ゲッ!!』という反射が起こりにくくなるのです。 もう一つ鼻から挿入するメリットとして、検査中に患者さんが自由にお話出来ることがあります。お医者さんと同じ画面を見ながら,『そこは何?』って聞く事が出来るのです。今までの方法でも検査を受けながら画面を見ることは可能でしたが、考えてもみて下さい。大きな口をあけて,目に涙をためながら冷静に画面を見ることが出来るでしょうか。実際にはほとんどの患者さんが目をつぶって,じっと苦痛に耐えるか,静脈麻酔でぐっすり寝ているかのどちらかだったのです。 このように画期的とも言える経鼻内視鏡にも弱点があります。真っ暗い胃の中では病変を見つけるために明るい光を必要としますが、まだまだ普通のカメラに比べて暗いのです。また視野角が狭いために見える範囲が限られるという問題も指摘されています。そのため普通の胃カメラと診断能が同等ではないのが現実です。先日開催された内視鏡学会においても、今後経鼻内視鏡が標準手技になるためには、もう少しカメラの進歩が必要であるという結論でした。 しかし患者さんの苦痛が少ないのは確かであり、検査を嫌っていた方が受けてくれることで病気の早期発見につながることも充分考えられます。検査を行うお医者さんが弱点を承知した上で、丹念に観察し病変を見逃さないように適切に行えば、大変有用な検査法と言えるのです。 当院でも平成19年4月より経鼻内視鏡を導入し検査を行ってまいりました。実際に検査を受けた患者さんにお聞きすると、苦痛が少なくよい方法とのことです。胃カメラが苦手で検査に踏み切れないでいるのでしたら、一度ご相談なさってみてはいかがでしょうか?きっとみなさんのお役に立てるものと思います。

外科 鈴木旦麿

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