整形外科

概要

骨、せぼね、関節、筋、腱、靭帯など、整形外科疾患全般の治療にあたっております。

当院では急性期病棟、および地域包括ケア病棟での診療を行っておりますが、当院整形外科には一般外来がなく、一般外来診療は隣接する「かねこ整形外科クリニック」で行っております。

診療内容

整形外科は全身の運動器疾患を治療対象としております。

手術を受けられる患者さんについては、かねこ整形外科クリニックと連携して可能な限りスムーズに対応しております。

ただし、専門性の高い手術(手外科手術、開放骨折手術等)、当科で治療が困難な方については、対応可能な近隣の病院へのご紹介をさせていただいております。

2025年10月に藤井医師(脊椎脊髄病学会認定指導医/機構専門医)が赴任し、脊椎脊髄外科診療の対応ができるようになりました。

手術例:頚椎椎弓拡大形成術(ラミノプラスティ)、頚椎椎間孔拡大術、顕微鏡下胸腰椎除圧術(腰部脊柱管狭窄症等に対する)、腰椎椎間板ヘルニア摘出術、BKP・VBS(経皮的椎体形成術;圧迫骨折・椎体骨折に対する)、低侵襲経皮的後方固定術(PPS)、UBE/AFESS(腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的脊椎内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術・腰部脊柱管狭窄症に対する脊椎内視鏡下腰椎部分椎弓切除術)、椎間板酵素注入療法(ヘルニコア)

・腰部脊柱管狭窄症に対する腰椎除圧術や腰椎椎間板ヘルニア摘出術は安全/低侵襲を目的に顕微鏡下手術またはバイポータル内視鏡下手術を行います。
・英語のみでの診療が必要な患者さんにも対応いたします。
・BKP,椎間板酵素注入療法(ヘルニコア)にも対応しています。

低侵襲脊椎治療法のご紹介

1. UBE/BESS(Biportal 脊椎内視鏡手術)

脊椎の変性・腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症などでは、神経根(脚や腰に向かう神経の根元)が圧迫されて痛みやしびれが生じることがあります。従来の開放手術では広範な切開・筋肉剥離が必要でしたが、近年は UBE(Unilateral Biportal Endoscopy)/BESS(Biportal Endoscopic Spine Surgery) と呼ばれる “2 孔式脊椎内視鏡手術” が注目されています。
手術では観察用ポート と 操作用ポート の2つの孔(4-8mm程度の傷2箇所)を設け、観察用には内視鏡、操作用にはドリル・鉗子・ケリソンなどの器具を挿入して操作を行います。灌流液(洗浄液)を流すことで視野を確保しつつ出血を抑え、柔軟性と操作性を両立できることが特徴です。

■特長・利点

  • 筋肉・軟部組織の温存 → 切開・剥離を最小限に抑えるため、術後の痛みや筋力低下が軽くなる可能性
  • 良好な視野管理 → 灌流液を使った洗浄効果で出血や浮腫を抑えつつ、明瞭な視野を確保
  • 早期回復への期待 → 傷が小さく筋肉へのダメージも少ないため、離床・退院がやや早めになると考えられます

より小さな傷・より少ない術後負担で、神経症状をしっかり取り除きたいという方には、この UBE/BESS は非常に魅力的な選択肢です。当院では熟練した技術と術前評価をもとに、適応を慎重に判断のうえ、安全・確実な手術を提供いたします。患者さんの病状をよく診察し、脊椎内視鏡手術が適応になるかを判断し、病状や病態によっては、オープン手術や手術以外の方法が相応しいこともあります。その際には、適切な治療をご紹介いたします。手術の利点とリスクについて、よく説明し、お互いに納得して手術を計画していきます。

2. BKP(経皮的椎体形成術:Balloon Kyphoplasty)

高齢者に多く見られる骨粗鬆性椎体骨折(圧迫骨折)は、強い痛みと生活動作制限を引き起こすことがあります。保存療法が基本ですが、痛みが持続する場合や変形進行のリスクが高いと判断される場合には BKP(Balloon Kyphoplasty:経皮的椎体形成術) が選択肢となり得ます。

BKP では、椎体内にバルーン(風船)を挿入してゆっくり膨らませ、椎体の圧迫された部分をある程度整復したうえで、空隙に 骨セメント を注入して固めます。これにより、椎体を支える強度を回復しつつ、痛みを軽減することを目指します。

■特長・利点

  • 即効性の鎮痛効果:圧迫された椎体にセメントを注入して安定化させることで、強い痛みを比較的早期に軽減できる例が多い
  • 早期の活動再開:安定性をある程度得られるため、長期間の安静期間を短縮でき、歩行や日常動作の再開を促せる可能性
  • QOL 向上:痛みや動作制限が改善すれば、生活の質(QOL: quality of life)が著しく改善されうる

適応・制限・注意点
主な適応は、「痛みを有し、保存療法で改善が乏しい骨粗鬆性椎体圧迫骨折」です。ただし、発症から時間が経ちすぎて椎体辺縁が硬化した例や高度変形の進行例では整復が難しいことがあります。また、骨セメント漏出、隣接椎体骨折リスク、穿刺時出血、神経障害などの合併症にも注意が必要です。特に高齢者や併存疾患のある方では術前評価を慎重に行う必要があります。
「寝たきりになるかもしれない」「痛みが強くて動けない」そんな不安を抱える患者様にとって、BKP は迅速な痛み緩和と日常動作の再開を目指す治療法として有用です。ただしリスクと効果のバランスを十分に説明し、個々の骨密度状態・全身状態を考慮して実施可否を決定するようにしています。どうぞ安心してご相談ください。

3. 椎間板内酵素注入療法(コンドリアーゼ注入:ヘルニコアなど)

腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板内の髄核物質が外へ突出して神経根を圧迫し、腰痛・下肢痛(坐骨神経痛など)を引き起こすことがあります。まずは薬物療法・理学療法・神経根ブロックなどの保存療法が第1選択ですが、それでも改善が乏しい例に対して、比較的低侵襲な選択肢として 椎間板内酵素注入療法(コンドリアーゼ注入、製品名:ヘルニコアなど) が位置づけられています。

本手技では、透視・レントゲンガイド下に椎間板内に針を誘導し、コンドリアーゼ(髄核内のムコ多糖を分解する酵素)を注入します。酵素が髄核内の保水成分を分解して膨潤度を低下させることで、椎間板内圧を下げ、突出部を後方に縮小させて神経根への圧迫を軽減します。

■特長・利点

  • 低侵襲かつ短時間手技:局所麻酔で行われ、数分〜十数分程度で完了することが多く、入院期間は 1 泊です。
  • 創部・切開なし:切らない治療なので創部痛や感染リスクを抑えられる
  • 保存療法と手術の中間段階選択肢:保存療法だけでは改善が難しい例、しかし手術をいきなり勧めるには抵抗がある例に適する
  • 改善例多数:報告では、12 週間目時点で下肢痛が半減する治療成功率が約 70 % 前後という報告もあります

適応・制限・注意点
この治療の適応は、後縦靱帯内脱出型(contained 型) の椎間板ヘルニアが主で、遊離脱出型や破片状ヘルニアでは効果が限定的とされることが多いです。注意点としては 1 生涯あたり 1 回限りの注入 に限定されています。副作用リスクとして、アレルギー反応(発疹・発熱・蕁麻疹・ショック反応など)、腰痛増強、注射部位障害、椎間板構造の劣化促進なども報告されているため、適切な医師・施設基準を満たす必要があります。当院では基本的に 1 泊の観察入院を行っています。
「保存治療で改善が思わしくない」「できれば手術は回避したい」という方には、この椎間板内酵素注入療法は魅力的な選択肢になります。当院でも適応検討・リスク説明を丁寧に行い、治療可否を慎重に判断いたします。ご希望があればぜひご相談ください。

外来

守谷慶友病院 整形外科術前外来・骨粗鬆症外来

  • 毎週金曜(午後) 14:00~16:30 (13:30受付開始)※祝日休診
  • 術前外来受診には紹介状(かねこ整形外科クリニックもしくは他院発行)が必要です。
  • 骨粗鬆症外来は初診受付もしています。

かねこ整形外科クリニック 藤井医師外来勤務日()

診察時間
08:40~12:00 休診
15:00~18:00 休診 休診

藤井賢吾

【担当科】整形外科
【専門領域】脊椎脊髄外科

平成17年 浜松医科大学医学部医学科卒業
平成17年 筑波メディカルセンター病院初期研修医
平成19年 筑波大学整形外科入局
平成30年 筑波大学大学院博士課程卒業
令和7年〜 当院

・日本整形外科学会認定専門医
・日本スポーツ協会認定スポーツドクター
・日本整形外科学会脊椎脊髄病医
・日本脊椎脊髄病学会認定指導医
・日本専門医機構認定脊椎脊髄外科専門医
・国際腰椎学会(ISSLS)アクティブメンバー
・日本脊椎脊髄病学会認定脊椎内視鏡手術UBE/BESS Instructional Course参加済み医師
・Balloonkyphoplasty(BKP)技術認定医(Medtronic社、Teijin社)
・VBS(De Puy Synthes社;Vertebral Body Stenting)技術認定医
・OLIF(Medtronic社)技術認定医
・XLIF (NuVasive社)Certificate取得済み医師
・MySpine(Medacta社)技術認定医
・身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
・難病指定医

整形外科で手術を受けられる方へ

当科では学会発表や研究のために、運動器の病気で入院・通院されていた患者様の診療情報を匿名化して用いる場合があります。
また、データベース登録事業 ( https://www.joanr.org/about/patient )にも参加しています。
これらの研究をすることによる患者様への新たな負担はございません。また患者様のプライバシーの保護については、法令等を遵守して研究を行います。
ご自身の情報について研究等への利用を望まれないという方、また不明な点をお聞きになりたい方は、担当医にお申し付けください。

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