ハリー・ボッシュagain 日曜日の朝の珈琲とジャズ

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今朝は久しぶりの青空で、玄関の新聞受けから新聞を取り出す際に初冬の気配を感じ、隣家の柿の木にたわわに実っていた柿はほとんど落ちていました。枯れ枝が目立つ庭の樹木や垣根に最後のふんばりのように残っている葉は黄色く色づいています。

気持ちの良い日曜日の朝は、エチオピアゲイシャ珈琲の馥郁な香り(202052日ブログでも紹介)を楽しみながら、ジョン・コルトレーンのアルバム「Ballads」を聴いてまったりしています。ジョン・コルトレーンは1967年に40歳の若さで亡くなりましたが、モダンジャズを代表するサックスプレーヤーで、マイルス・デービスやビル・エバンスと並び称される20世紀のジャズ巨人の一人です。第一線で活躍したのは10年あまりでしたが、その間に200枚以上のアルバムを発表しており、彼のレコードやCDは現在でも流通し続けています。好きなアルバムは「バラードBallads」、「My Favorite Things」、「A Love Supreme至上の愛」などです。

・・人生は長さではなく、その中身だとつくづく感じさせられます。

昨夜は久しぶりに米国のテレビドラマ「BOSCH/ボッシュ」を楽しみました。私はミステリー小説が大好きですが、その作者の筆頭に上がるのが米国のマイクル・コナリーです。余談ながらマイクル・コナリーの顔写真をみると、私の友人であるイスラエルの小児感染症医ロン・ダガン教授にとても良く似ているので、その意味でも親近感を持っています。

このドラマはマイクル・コナリーの人気作品、ハリー・ボッシュシリーズを原作にしたもので、コナリーも制作・監督に参加しています。ロサンジェルス市警殺人課の刑事ハリー・ボッシュを主人公にしたものですが、単なる探偵・犯罪ドラマに終わらず、登場者の人物造詣やボッシュのゆれる心理を巧みに描写しており、複雑でスリリングな展開を通して、自分を見つめ直していくドラマ構成が見事です。是非原作から読むことをお薦めします。現在まで30作近い作品が日本でも翻訳されいずれも評判が高いのですが、読んでみようと思う方にはまず「エコー・パーク」「リンカーン弁護士」「わが心臓の痛み」などから始めるのが良いかも。


主人公のハリー・ボッシュはアメリカ映画に出てくるような典型的なハンサムでタフガイではなく、少し疲れ気味の中年刑事です。ドラマに出演する脇役がまたとても個性的で全体に厚みを持たせており、ストーリーも複層的で家庭問題、警察組織のポリティクス、などに殺人や麻薬問題を絡ませて、まったく飽きさせることなくドラマが進行していきます。ドラマの1エピソードは50分ですが、あっと言う間に終わり、すぐに次のエピソードをみたくなります。因みに主人公の本名はヒエロニムス・ボッシュ(Hieronymus Bosch)で、中世の画家と同姓同名で作中では彼の母親が名付けたとされています。作者のコナリーは画家ボッシュの作風、罪の代償や誤った世界を描く悪夢の絵、からロサンジェルスの混沌とした悪夢の世界を暗示したいと考えて、ドラマの主人公にこの名前を採用したようです。

 内容とは別にこのドラマで楽しめるのは音楽と自宅デッキからのハリウッドの眺望や夜景です。ハリー・ボッシュの趣味はモダン・ジャズで、とくにサクソフォンがいちばんのお気に入りということが、作中で毎回のように描かれ、ドラマでもジャズが流れます。彼の自宅はロサンジェルスのスタジオシティから南東に臨む丘陵の一角、ウッドロー・ウィルソン・ドライブにあり、事件の捜査や人間関係に疲れたボッシュが遠くのハリウッドの夜景を見ながら、デッキで酒とジャズで開放された一時を過ごす場面がドラマの重要なパートとして頻繁に描かれています。チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、アート・ペッパーなどの音楽が作中に流れると、ドラマとはいえその環境に憧れを感じてしまいます。このようなロケーションや音楽は、ボッシュのドラマを体感させてくれるコナリーの心憎い選択と思います。

因みに、一介の刑事が高級住宅街の一角にこのような自宅を持てるのは不自然だという疑問に答えるように、ボッシュが担当して解決した難事件が、本として出版され、さらにテレビシリーズとなり、高額な臨時収入があったと作中で説明されています。

疲れた日常から開放されたいときの週末には、ジャズを聴きながら原作を一読、あるいはテレビドラマを見てボッシュの世界に没入されるのもお薦めですよ。

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