「希望」ほど人を慰めるものはない:コロナパンデミックが教えてくれたこと

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2024年は正月の能登半島大地震や航空機事故など大変なことが次々と起こり、あっと言う間に1月過ぎ去り、もう2月になっています。さらに侵略戦争や中東での大規模テロなど世界はますます昏迷の時代にはいっています。
この不完全な世にあって、およそ「希望」ほど人を慰めるものはないと心から感じている今日この頃です。

 悲惨な出来事ばかりでTVのニュース番組を見る気も萎えており、もっぱら週末は読書に没頭しています。 昨年読んだ「コード・ブレーカー」は、最もわくわくした一冊でした。ゲノム編集技術クリスパー・キャス9を開発し、2020年ノーベル賞を受賞したジェニファー・ダウドナ女史を主人公にしたものです。その技術の計り知れない可能性に心が震えました。この技術は生成AIと同様に、正しく使われれば人類にとって極めて大きな希望をもたらしてくれるものと信じています。ゲノム編集技術はコロナパンデミックも征服し、昨年12月には米国FDAが遺伝性血液疾患「鎌状赤血球貧血症」に対して、世界初のゲノム治療として承認しました。
 この疾患は黒人に発症し、変型赤血球の血管閉塞による手足の激烈な痛みや貧血が進行します。ジャズトランペット奏者のマイルス・デイヴィスもこの疾患を発症しており、痛みから逃れるために麻薬や酒に走ったことが知られていますが、病に対する忍従やレジリエンス(立ち直り力)も創造的なアーティストの育成に継がったのかもしれません。

 2023年のノーベル医学・生理学賞はmRNAワクチンの開発でコロナパンデミックの収束に計り知れない貢献をしたカタリン・カリコ女史が受賞しました。ダウドナー博士およびカリコ博士の二人の女性が、この昏迷の時代に遺伝子病治療や感染症対策に大きな「希望」の光を投げかけてくれたことに心から感謝しています。

 人は社会的な生き物であり、コロナ禍における人との連携の遮断は様々な苦痛や障害をもたらし、私たちは人との関わり合いの中でしか生きられないことを痛感させられました。
現在は生活や仕事の多くの割合がインターネットで済んでしまうことが多く、ネット会議やWeb会議などのオンラインでコミュニケーションを取ろうとしています。
しかし人とのコミュニケーション力はメールが50%、電話が70%、直接会話が90%とマンツーマンの会話に勝るものはありません。
コロナ禍は私たちに、人とのつながりや直接会話の重要性を強烈に認識させてくれたように思います。

箱根 彫刻の森美術館にて男女各72体が手をつないでいます。

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