新型コロナウイルスワクチン 第2報

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東京での新型コロナウイルス感染者数が7月4日の時点で131名となり、数日来100名を超えています。世界の感染者数も増加の一途をたどっており、なかなかアフター(ポスト)コロナとはならず、ウイズコロナが続きそうです。こうなると一時も早くワクチンを!という気持ちになりますね。現在ワクチン開発の世界的競争と争奪戦が進んでおり、米国のトランプ大統領は国内外のワクチン開発中の製薬企業や研究所に多額の資金提供をして、その条件として実用化した際に真っ先に米国国民に配布することを盛り込んでいるようです。これは開発企業が所属する国を飛び越えて、まずは米国へということですから、その政府もたまったものではありません。日本は大丈夫なのでしょうか。

5月18日にワクチン最新情報をお送りしましたが、その後の状況を整理してみます。WHOの7月2日時点のまとめでは、臨床試験に入っているワクチンは18種類あります。現在、もっとも先行しているのは英国のアストラゼネカワクチンと米国モデルナワクチンで、実用化のための最終段階である第3相に入っています。僅差で追っているのが、中国のカンシノワクチンとシノバックワクチン、および独ビオンテック/米国ファイザーワクチンです。いずれも免疫抗体の良好な上昇のデータが得られれば、今年秋にも実用化される可能性が高く、早ければ年内にワクチン接種が開始されると期待されています。日本ではアンジェス/阪大グループが6月30日に第1/2相試験を開始しましたが、上記の海外ワクチンに遅れを取っている感を否めません。頑張ってもらいたいものです。
日本政府も手をこまねいているわけではなく、最も先行しているアストラゼネカと供給協議を開始したと6月26日にメディアに発表されました。もっとも早く実用化される海外ワクチンを国内向けに調達し、来春までには国内でも接種できるように国内メーカー(第一三共、明治製菓ファルマなど)と協力して供給する計画です。

新型コロナワクチンの開発は人類において極めて重要であり、「最初にワクチン開発に成功した国が世界に先駆けて、その国の経済と世界的な影響を回復するだろう」(スコット・ゴットリーブ米国FDA元長官)と言われています。この点においても米中対立が熾烈となっており、中国による情報の不正取得などが米国FBIにより警告されています。一方で研究者間では国の壁を越えて、新型コロナウイルスの遺伝子情報や多くの研究成績が交換されており、サイトカインストームという免疫の暴走による重症化のメカニズムやアクテラム(抗リウマチ薬)による治療など、新しい知見が急速に蓄積され、コロナとの戦いの後半戦は人類の英智が試されると思っています。

【イタリアのベネチアで手に入れた耳鼻科医の陶製フィギュア】  ―海外で医師をモデルにしたフィギュアを見つけると必ず購入することにしているが、見るからに繊細なので持って帰るのに一苦労するー

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