アレルゲン免疫治療とは何ですか?
Dr.山中
減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、からだをアレルゲンに慣らしていくことで、アレルギー症状を和らげる治療法です。
アレルゲン(抗原)はアレルギー症状を引き起こす原因となるものです(ホコリ、ダニ、スギなど)
舌下免疫療法のメリットは何ですか?
Dr.山中
○花粉症、ダニ治療法の中で、唯一根治が期待できる治療法です。
○根治に至らなくても軽症化によって薬の量が減らせる可能性があります。
○治療終了後も一定の効果が持続します。
○花粉症、ダニ抗原によるアレルギー性結膜炎、喘息にも効果があるとされています。
○注射で治療する皮下免疫療法と異なり、注射の痛みがなく自宅で服用出来ます。
舌下免疫療法のデメリットは何ですか?
Dr.山中
×即効性はありません。また、全ての方に有効というわけではありません。
×数年にわたる毎日の治療の継続が必要です(3~5年程度)
×現在のところスギ花粉症、ダニアレルギー、アレルギー性鼻炎に効果が認められています。
×薬剤に対する急性の過敏反応(アナフィラキシー)を起こし、ショック等に至る恐れがないとは言えません。
この治療法は全ての花粉症の方が受けられますか?
Dr.山中
医療安全のため、重症の気管支喘息の方や妊娠期間中の妊婦には行えません。
年齢制限はありますか?
Dr.山中
年齢にかかわらず小児から使用可能です。しかし、乳幼児では薬剤の舌下保持(溶けるまで1分以上舌下に保持)が難しく、さらにしばらく運動を控える必要があるため、5歳以降で小学生であれば可能と考えられます。
副作用は何ですか?
Dr.山中
▲重大な副作用としてショックやアナフィラキシーが報告されています。
▲重大ではないが、比較的頻度の高い副作用として口内炎、舌の下の腫れ、口腔内の腫れ、喉の痒み、耳の痒み、などが報告されています。
治療費用(コスト)は高いですか?
Dr.山中
この治療は保険適応になりますので、自己負担割合でお支払できます。
この治療はいつから開始したら良いですか?
Dr.山中
○花粉飛散期には花粉アレルゲンに対する免疫応答が亢進しており、この時期は副反応が起こりやすいため開始しません。花粉飛散開始の3ヶ月以上前から開始し、飛散期までに維持量にすると初年度の効果が高いとする報告もあります。
○ヒノキ花粉とスギ花粉との共通抗原性のために、ヒノキ花粉飛散期終了して1ヶ月後(関東以西では6月から11月頃まで)に開始することが望まれます。
○ダニはいつ始めても良いが、スギ花粉症状を合併している場合には花粉飛散期を避ける方が良いとされています。
舌下免疫治療中にアレルギー性鼻炎、結膜炎などの症状が出た場合には、抗アレルギー薬を服用して良いですか?
Dr.山中
内服ステロイド薬以外は適切なアレルギー治療薬を選択して処方しますので、服用して下さい。舌下免疫療法の効果は減弱しません。
スギ花粉とダニの舌下免疫療法を一緒に開始できますか?
Dr.山中
○併用は可能です。しかし、より安全に行うためにスギ花粉の舌下免疫療法から開始し、1ヶ月以上経過して問題がないのを確認してから、ダニの舌下免疫療法を追加します。
○最初は朝にダニ、夕方にスギを投与し、1ヶ月程度問題ないことを確認してから同時間帯に5分間隔で両方を投与します。
参考文献 湯田厚司:スギ花粉とダニの舌下免疫療法 108のレシピII 2018