つくば難聴めまいセンター・耳鼻咽喉科頭頸部外科の1年を振り返って
多くの難聴患者さんやめまいで悩まれている患者さんが受診され、この1年間で難聴、めまい患者さんはそれぞれ700名を超えています(治療成績へリンク)。
当科を受診しためまい患者さんに問診をすると、めまいやふらつきを発症した際に、最初にどの診療科を受診したらよいか悩むことが少なくないようです。診察前の問診記載をみますと、多くの方がまず頭の病気を心配して、脳神経外科や内科(神経内科)を受診しています。そこで頭のCTやMRIを撮影されていますが、ほとんどが異常なく「歳のせい」と言われ、一般的な抗めまい薬を処方されることが多いようです。
つくば難聴めまいセンターのホームページへのアクセス数は非常に多く、当センターに興味を持っていただいて大変ありがたく思っています。多くの方が最初の治療でなかなか治らないので、インターネットで探して当センターにたどり着いたのではないかと推測しています。
茨城県内だけではなく、東京、千葉、埼玉、福島などの遠方からもめまい・ふらつきでお悩みの患者さんが受診されています。
当センターではめまい患者さんに重心動揺検査(コンピュータ解析)などの精密検査を行い、さらに診察室で赤外線ビデオカメラで目の異常な動き(三半規管の障害が起きた際に、「眼振(がんしん)」と呼ぶ異常な眼球運動が見られます)を調べます。まさにめまいの診断では「目は口ほどにものを言う!」のです。この眼振検査によりめまいの7〜8割が診断できます。
めまいの原因の中で約半数を占めるのは「良性発作性頭位めまい症」で、内耳にある耳石(じせき)がなんらかの原因で剥がれて三半規管に入り込んでしまい、誤ったバランス情報が伝えられるためにめまいが起こります(病気を知ろう「耳の病気 めまい・ふらつき」へリンク)。
幸いにもこの病気は診断がつけば、浮遊している耳石を元にもどす頭位変換治療(耳石置換法)で、その日のうちに治す、あるいは軽快させることができるのです。
当センターでは毎週20名近いめまい患者さんが受診されますが、そのうちの半数以上が良性発作性頭位めまい症と診断され、この耳石置換法でその日のうちに、あるいは翌日にはめまいが改善しています。
この1年で外来手術としてもっとも多く行われたのは炭酸ガスレーザーによる鼻粘膜焼灼術です(手術実績へリンク)。鼻づまり(鼻閉)はアレルギー性鼻炎や鼻粘膜がはれている肥厚性鼻炎の患者さんのもっともつらい症状の一つです。はれている両側の鼻の粘膜の表面を炭酸ガスレーザーで焼いて薄くすると、2週間程度で新しい粘膜に入れ替わるので、アレルギー性鼻炎の症状や鼻づまりが改善します。ガーゼ麻酔をしてから15分程度で手術は終了します(病気を知ろう「鼻の病気 アレルギー性鼻炎」へリンク)。
鼻づまりで悩まれている方はぜひご相談ください。
センター長 山中 昇