アレルギー性鼻炎

3月〜4月はスギ花粉症の人には憂鬱な季節ですね。スギ花粉の飛散し多くの方を悩ませますが、同時にヒノキに対する花粉症も持っている場合が多いので、4月に入っても症状が続くことも多いようです。スギ花粉症の最新治療を紹介しましょう。

ドクター山中が勧めるアレルギー性鼻炎(花粉症)の治療はこれだ!

  1. 花粉が飛び出す前に抗アレルギー薬の服用を始める(初期治療)
    初期治療を逃したら、次の導入治療を確実に早めに開始する。
  2. 症状が出だしたら抗アレルギー薬と鼻噴霧ステロイド薬で治療を開始する(導入治療)
  3. 鼻づまり、鼻水、くしゃみの症状が強い患者さんでは、花粉飛散のピークの前にレーザー鼻粘膜焼灼治療*(日帰り手術)を行う。
  4. 花粉シーズンが終了したら翌年以降の花粉症対策として、6月からスギ花粉エキス(シダキュア)による舌下免疫療法を開始する。

*レーザー鼻粘膜焼灼術によるアレルギー性鼻炎(花粉症)の改善効果は1〜2年持続することが多いので、舌下免疫療法の効果が出現するまでの1〜2年をカバーすることが可能となります。

 

現在、スギ花粉症の有病率(病気を持っている人々の割合)は 20%を超えていると言われています。すなわち5人に1人はスギ花粉症を持っていることになります。以前にはスギ花粉症は大人の病気で、幼少の子どもたちには少なかったのですが、最近はスギ花粉症の低年齢化が進んでおり、スギ花粉が飛散する季節では小学生たちが花粉症のため校庭で体育授業ができないことが多くなっているようです。スギ花粉症の季節にはモンキーセンターのニホンザルたちも花粉症に悩む姿が報道され、花粉症の治療やマスクができないためかわいそうだと同情をかっています。
写真:花粉症に悩む淡路島モンキーセンターのサル(読売新聞)

 

戦後荒廃した山地に緑を取り戻すために、発育の良いスギの植林を精力的に行いました。現在では日本の森林の約20%、国土の約10%をスギ林が占めているため、スギ花粉症は日本に特徴的な花粉症(中国の一部でもスギ花粉に対するアレルギー性疾患があるようです)となりました。
スギや草花の花粉などに対してアレルギー反応をおこして、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状がでる病気が花粉症です。家のゴミやホコリ(ハウスダスト)などによるアレルギー性鼻炎は一年中症状がでるため通年性アレルギー性鼻炎と呼ばれ、花粉症はその花粉が飛散する時期のみに症状が出るため、季節性アレルギー性鼻炎と呼ばれます。

スギや草花の花粉などに対してアレルギー反応をおこして、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状がでる病気が花粉症です。家のゴミやホコリ(ハウスダスト)などによるアレルギー性鼻炎は一年中症状がでるため通年性アレルギー性鼻炎と呼ばれ、花粉症はその花粉が飛散する時期のみに症状が出るため、季節性アレルギー性鼻炎 と呼ばれます。

スギ花粉症はなぜ起こるのでしょうか?

くしゃみや鼻水、さらに咳発作などの症状でアレルギー性鼻炎、喘息と診断され、その原因が家のゴミやホコリ(ハウスダスト)やその中に含まれているダニなどに対するアレルギー反応と言われた方も多いと思います。外界からの異物に対して異常反応を起こすことをアレルギー反応と呼び、このアレルギー反応の原因となるものをアレルゲン(抗原)と言います。色々な花粉がアレルゲンとなってアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎をおこす疾患が花粉症です。スギ花粉症ではスギ花粉の成分がアレルゲンとなっています。

スギ花粉が鼻や口から侵入し体内の粘膜に取り込まれると、体内のリンパ球(白血球の一つ)が異物として反応し免疫抗体(IgE)を作成します。この抗体がヒスタミンを多量に含む肥満細胞(白血球の中で大きく“肥満”しているので肥満細胞と呼ばれます)に結合して、次の花粉の侵入に備えます。再びスギ花粉が鼻や口から体内に入ってくると、このスギ抗原と抗体が反応して肥満細胞を刺激してヒスタミンなどのアレルギー誘発物質を放出します。この物質が鼻、口、目の結膜を刺激して、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、涙目、などの花粉症の症状を引き起こします。
出典:日本アレルギー学会

くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状は身体の防御反応です。

アレルギー症状はつらいものですが、これらの症状は外界からの異物(抗原)が生体内に侵入するのを防ぐ防御反応なのです。つまり鼻づまりにより鼻に抗原が入りにくくして、さらにくしゃみや鼻水により鼻に侵入した抗原を、流涙により目に侵入した抗原を追い出しているわけです。しかし、本来防御反応であった症状の方が強くなりつらくなったため、花粉症として治療が必要となるわけです。

スギ花粉症の治療

  1. スギ花粉から逃れる(抗原回避)
  2. 薬物治療:ヒスタミンなどのアレルギー誘発物質を抑えます
  3. 舌下免疫療法:スギ抗原を徐々に体内に入れて、身体を 花粉に慣らして症状を和らげます
  4. レーザー鼻粘膜焼灼術:スギ抗原が付着・侵入する鼻粘 膜をレーザーで焼灼して、鼻閉、鼻水などのアレルギー症状を抑えます

上記の治療はすべて守谷慶友病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科 つくば難聴めまいセンターで行っています。

スギ花粉から逃れる方法

原因となる花粉がない環境に生活すればスギ花粉症にはなりませんね。スギは沖縄には生育しないので沖縄にはスギ花粉症はありません。また北海道は南の一部にスギがあるのみでほとんどの地域ではスギ花粉の飛散はありません。したがって、スギ花粉の飛散時期には沖縄か北海道に、あるいは海外に一時的に移り住むとスギ花粉症に悩まされることがなくなります。沖縄やハワイに避寒を兼ねて短期移住・・・と言うわけにはなかなかいきませんね。

身近な対策としては飛散時期に

  • マスク、ゴーグルを装用して花粉が鼻、のど、目に侵入するのをできる限り防ぐ
  • 家の中へ花粉が侵入しないように、飛散が多いときには窓の開閉を控える、洗濯物を外に干さない、花粉除去機能をもつ空気清浄機を使う
  • 帰宅した際に衣服に付着した花粉を落としてから家に入る
薬物治療—鼻アレルギー診療ガイドライン

ほとんどのスギ花粉症の患者さんが受けている治療ですね。花粉症の薬は非常にたくさんあり、どの薬も同じように花粉症の症状に効果があるわけではないので、治療を担当する医師にとってもその選択に悩むことが少なくありません。
花粉症の症状として、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが特徴的ですが、すべての患者さんに同じ症状がでるわけではありません。つまり鼻水が多くて止まらない人、鼻づまりが強くて苦しい人、目のかゆみが強い人、などとそれぞれ症状の強さが異なっていることが多いです。したがって、花粉症の治療はどの症状が強いのか、花粉症のどの時期に行うかによって異なっているため、「鼻アレルギー診療ガイドライン」によって推奨される治療法や治療薬がまとめられています。

◎治療法の種類
次の3段階に分けられます。

  1. 初期療法
    花粉が飛散する少し前に始めます。花粉ニュースで飛散が少 し飛び出したがまだ症状が出ていないような時期に、花粉症 の治療を行うと症状の発現が遅くなる、症状が軽くなる、症 状の持続期間が短くなる、などの効果が期待できます。
  2. 導入療法
    飛散が始まって症状が出始めた頃に行う治療で、花粉症の患者さんのほとんどが病院やクリニックで受ける治療ですね。症状の強さ(重症度)と症 状のタイプ(くしゃみ・鼻水タイプ、鼻づまりタイプ)によって治療薬を選びます。
  3. 維持療法
    花粉シーズンが修了するまで、軽快した症状を維持するために行う治療です。
    出典:花粉症ナビ kyowa-kirin.co.jp
花粉症に使う薬

初期療法(症状が出ていない時期の治療)、症状の重症度(軽症、中等症、重症、最重症)、症状のタイプ(くしゃみ・鼻水タイプ、鼻づまりタイプ)によって分けられています。

初期療法に使われる主な薬

花粉症の症状は肥満細胞から放出されるヒスタミンと呼ばれる化学物質によって起こるので、この作用を抑える抗ヒスタミン薬を使います。抗ヒスタミン薬は眠気を起こしやすいので、運転する方や日中眠気が出ては困る職業の方は注意が必要です。眠気が少ない抗ヒスタミン薬としてアレグラ®、クラリチン®などが使われます。

軽症の花粉症に使う薬

くしゃみや鼻水に効果的なデザレックス®、ビラノア®、ルパフィン®、アレロック®、タリオン®、などの抗ヒスタミン薬が主に使われます。

中等症以上の花粉症に使う薬
  • くしゃみ・鼻水が多いタイプ
    タリオン®、ザイザル®、ジルテック®、アレロック®などの抗ヒスタミン薬とナゾネックス®、アラミスト®などの鼻噴霧用ステロイド薬を主に使います。症状が強いときは抗ヒスタミン薬と鼻噴霧ステロイド薬を併用します。
  • 鼻づまりが強いタイプ
    キプレス®、ディレグラ®などの抗アレルギー薬とナゾネックス®、アラミスト®などの鼻噴霧用ステロイド薬を主に使います。
    小青竜湯(漢方薬)と鼻噴霧用ステロイド薬などを主に使います。
アレルギー性結膜炎に対して

パタノール®点眼薬、アレジオン®点眼薬などを使います。アレジオン®は防腐剤が入っていないので、コンタクトレンズを使用している患者さんにも使いやすい点眼薬です。

舌下免疫療法

(当科の耳鼻咽喉科医師は舌下免疫療法施行資格を有しています)
スギ花粉症の原因(アレルゲン)となるスギ花粉舌下錠(シダキュア®)を毎日舌下に含み溶解させます。低濃度から徐々に高濃度に上げていき、スギ花粉に対する過敏性を低下させる治療法です。小児および成人のスギ花粉症(アレルギー検査でスギが陽性となっている方)の治療法として保険適用となっています。


出展:kafunq.com, mainichi.jp

舌下免疫治療はスギ花粉の飛散時期に行うと症状が悪化する恐れがあるため、花粉が飛散しない6月から11月の間に開始します。この治療は途中でやめてしまうと効果がなくなってしまうので、毎日、少なくとも2年以上継続する必要があります。
根気のいる治療法ですが、当科でもたくさんの患者さんが治療を受けており、早い人では翌年のスギ花粉時期には、症状が非常にかるくなった、薬物治療が短くて済んだ、などと有効性を実感している患者さんが増えています。
現在までの報告では

  • スギ花粉症に対する治療薬が必要なくなる:約20%
  • 治療薬は必要だが、症状がかなり軽減した:約40〜60%と有効率は約80%程度であり、大変有望な治療法です
レーザー鼻粘膜焼灼術

スギ花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎の症状改善、特に鼻閉にも有効です。当科では約1時間程度の日帰り手術を行っています。

アレルギー性鼻炎の患者さんでは、スギ花粉やハウスダストが鼻の粘膜に付着して
アレルギー性炎症をおこしているため、腫れてむくんでいます。そのため鼻づまりが強くなり、口呼吸になるため夜間などは苦しく眠りが浅くなります。さらに炎症刺激により頻回のくしゃみや粘膜から大量の鼻水がでます。

レーザー治療は鼻の粘膜のうちでもっとも面積の広い下鼻甲介とよばれる部分の粘膜表面にレーザー光線を当てて、粘膜を蒸散(個体を気体に変えること)し、アレルギー症状、特に鼻づまりを改善します。

当科ではモリタ製炭酸ガスレーザー レザウィン II COM-2を用いて、アレルギー性鼻炎の患者さんの治療を行っています。

両側の鼻に麻酔薬ガーゼを15分程度挿入して局所麻酔を行います。この処置でレーザー治療中の痛みは殆どなくなり、出血もほとんどありません。片方約10分ずつレーザー治療しますので、手術時間は合計30分程度で終了します。

レーザー光線により左鼻の下鼻甲介粘膜を焼灼

出典:  www.tanabe.-ori.jp

レーザー治療後は粘膜がレーザーによるやけどをおこし腫れるため、術後数日間は鼻づまりが強くなります。手術後1週間頃から症状は軽減し、3~4週間後にはかなり良くなります。

レーザー手術により約90%の患者さんの鼻づまりが改善し、約70%の患者さんの鼻水・くしゃみが改善すると報告されています。ただしレーザー手術により症状の改善がみられても、ある程度の期間(1~2年)が経過すると鼻の粘膜が再生・増殖して症状が再発することもあります。このような患者さんでは希望により再手術を行います。

当院では指先からの簡単な採血で20分で結果がわかるアレルギー検査を導入しております。
成人の方はもちろん、小さなお子様にもお勧めです。お気軽にご相談ください。
詳細はこちら

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