「盲、聾、唖のヘレン・ケラー女史は、一つだけ復活の恵みを与えられたら何を希望したのでしょうか?」

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ほんとに久しぶりのDrふらふら日記です。つくば難聴めまいセンター・耳鼻科診療棟の新築移転などが重なり、またコロナ、コロナとコロナに明け暮れた(現在も)毎日で、気持ちの余裕がなかったのか(そうは思いたくないが)、どうしても話題がコロナに偏ってしまう恐れがあり、それは避けたいという気持ちが段々強くなったためかと思っています。

最近は日々のスケジュール管理で今までリストアップしていた「Things to do」(今日、今やるべき事・・)はやめました。まるでコロナに追われるようでいやになってきました。

「やるべき事」に追われるのではなく、これからは「Things for joy」です! そうです「楽しい事」、「楽しむために必要な事」、をリストアップする毎日にしよう(と自分自身にハッパをかけています)。

先週の日曜日に日本ダルクローズ音楽教育学会の年次学会の基調講演を行いました。講演時間は実に1時間50分の長丁場で、声と体力(ずーと立って講演)が持つか不安だったのですが、無事に終えることができてほっとしています。いつものような医師を相手の専門的な内容ではないことと、長時間の講演を飽きないで聴いていただくため、映像や音楽を豊富に入れた内容で、話しを工夫しようと準備に大分時間をかけました。しかし準備は思いの外楽しく、えっ、そうなんだというような発見が多々有り、勉強の毎日でした。

タイトルは「聞こえと声とことばのふ・し・ぎ」としました。音楽教育に携わる方々が聴衆なので、音楽を聴く、歌う、ことに毎日接しており、聴覚や発声についての疑問を答えるかたちで講演を進めました。話しのイントロとして、聴覚の重要性を理解してもらうためヘレン・ケラー女史の物語を取り上げました。

米国のヘレン・ケラー女史をご存知でしょうか。彼女は1歳半のときに髄膜炎にかかり、視覚と聴覚を失い、話もできなくなりました(盲、聾、唖の三重苦)。アン・サリヴァンとの出会いにより、コミュニケーション能力を獲得し、障害者福祉、婦人参政権などの普及に世界的に活動されました。その半生は「軌跡の人 The Miracle Worker」の映画で紹介されましたので、ご存知の方も多いと思います。ケラー女史に「神が復活の恵みを一つ与えてくれるとしたら、見る、聞く、話す、のいずれを取るか」と質問したところ、彼女は迷うことなく「聞く能力がほしい」と答えたそうです。私が医学部の学生に同じ質問をしたところ、約80%が「見る」と答えました。

ケラー女史はなぜ「聞く」能力を望んだのでしょうか。その理由は「ことば」です。人間が他の動物ともっとも大きな相違は「ことば」によるコミュニケーションが取れることであり、この能力により人間の文明が発達してきました。この「ことば」は生後に母親が話しかけることばを聞きながら、赤ちゃんは舌やのどの発声器官やことばの構築などが発達していくのです。したがって聞くことが出来ない「聾」の場合には、「ことば」を発することができない「唖」となってしまうのです。

したがって、人とのコミュニケーションを取るためにケラー女史が「聞こえ」を欲したのは納得ですね。

次回以降のDrふらふら日記では、この講演準備の中で得られた聞こえやことばのおもしろい話題を紹介していきましょう。

Stay Homeに抵抗して週末はときどき東京に出かけます。東京はやはり音楽コンサートや美術展が頻繁に開催されており、コロナでしぼんだ気持ちを膨らませてくれます。

銀座丸の内で開催されていたアンティークマーケットに出かけました。この日はワイングラスと英国製のカップ&ソーサー、スープカップを手に入れ、にこにこ顔(家内が)で帰宅しました。

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