“いびき”は無呼吸への第一歩
頭は進化したが、顔は退化した あなたは、“いびき”をかくと言われていませんか? “いびき”は、熟睡している証拠などと考える人も少なくありませんが、大間違いです。無防備な睡眠中に“いびき”をかくのは、生存競争に明け暮れる野生の動物にとっては危険を伴う行為です。ですからヒト以外の動物は、“いびき”をかく …
Moriya Snore and Apnea Center の頭文字をつなげたものが MSAC で す。
2019年10月に週2回のいびき・睡眠時無呼吸外来を開設しましたが、2021年4月からは守谷いびき・無呼吸センター(MSAC)として発展しました。
耳鼻科医と内科医が協力していびき・睡眠時無呼吸の診療を行うことによって、慶友病院では週4回、ひがしクリニック慶友では週1回の外来を行います。これによって、多くの患者さんを診療すること、そして多様な治療法を提供することが可能になりました。
睡眠中に上気道(鼻から喉頭)までのどこかが狭くなって出現する音が“いびき”です。上気道がさらに狭くなって閉塞した(息が吸えない)状態が無呼吸です。そのため睡眠時無呼吸患者さんの大多数の方が大きな“いびき”を指摘されています。
“いびき”は無呼吸への第一段階です。
座った状態で居眠りしている時に、“いびき”を指摘される方、誰よりも早く寝付いて“いびき”を指摘される方は、睡眠時無呼吸が強く疑われます。
“いびき”は、熟睡している証拠などと考える人も少なくありませんが、大間違いです。
“いびき”でお悩みの方は、MSAC受診をお勧めします。
健康の維持・向上には、質・量ともに十分な睡眠が不可欠です。
短時間睡眠や睡眠障害は、肥満、高血圧、糖尿病、循環器疾患などの生活習慣病の発症リスクや死亡リスクを増加させることが知られいます。最近では認知症との関わりも示唆されています。
守谷臨床睡眠医学研究所:Moriya Institute for Clinical Sleep Medicine(MICSM)では、いびき・睡眠時無呼吸をはじめとした様々な睡眠障害に関する研究情報や、健康生活を維持するための睡眠の役割などを筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(International Institute for Integrated Sleep Medicine: IIIS)と共同協力した情報を、皆様に提供してまいります。
MASC長のドクター佐藤は、35年間に亘って呼吸器内科医として診療する傍ら、睡眠時無呼吸発生の原因を生理学的な観点から、そして人類学的な観点から勉強・研究してきました。
「体のよもやま話」では、ドクター佐藤が勉強・研究してきたことを、体と健康に関する様々な話題、雑学的な事柄や豆知識として、一般の方々にも理解しやすい内容にして、思いつくままに掲載します。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS:サス)は、眠っている間に呼吸が止まる病気です。
日本のサス潜在患者数は300~900万人にも達すると推計されていますが、寝ている間の無呼吸には、本人はもちろん、周りの人もなかなか気付くことができないために、検査を受けて治療をしているのは、わずか50万人程度にすぎません。
サスには様々な病態がありますが、上気道(鼻から声帯までの間)のどこかが閉塞して窒息状態になる閉塞性無呼吸が大多数を占めます。上気道が閉塞する前段階で発生する音が“いびき”です。
“いびき”は、良く寝ている証拠ではありません。特に、周りの人が迷惑だと感じるたり、隣の部屋でも聞こえたりするような“いびき”をかく人は要注意です。
あなたの“いびき“は大丈夫ですか!?
隣の“いびき“は大丈夫ですか!?
静かになったとき、息は止まっていませんか!?
マスコミでは、太った中年男性で居眠り運転をくり返すような眠気の強いサス患者が話題になりますが、これまで病院で検査を受けてサスと診断された患者さんの4割は太っていませんし、半数以上の患者さんは“昼間の眠け”を自覚していません。また、痩せた患者さん・若い患者さん・女性の患者さんも少なくありません。
ほぼ全員に共通な特徴は、“いびき”をかくことです。
あなたの“いびき“は大丈夫ですか!?
寝ている間に生じる無呼吸は、ごく短時間(十数秒)目が覚めることによって、終わります(呼吸を再開します)。ですから無呼吸のたびに目が覚めているのです(一晩に50回無呼吸がある人は50回目が覚め、300回無呼吸がある人は300回目が覚めていることになります)が、目が覚めている時間は短いので、本人は憶えていません。ただ、一晩の無呼吸が多い人は、目が覚める数も多いので、良い眠りが取れないことになって、昼間も眠くなってしまうのです。たっぷり寝てもすっきりしなかったり、昼間疲れやすいなどの症状を訴えたりするサス患者さんもいます。
サスのもう一つの問題は、無呼吸の時間が長い(1分以上呼吸が止まることも有ります)と、酸欠(低酸素)状態になるので心臓や脳などに大きな負担をかけることです。本来、睡眠は日中活動した身体を十分に休息させるためのものですが、サス患者さんは睡眠中も心臓が頑張っています(睡眠中には低下するはずの交感神経の活動が活発になって、血圧や脈拍が上がります)。
サスは、高血圧症や不整脈などの循環器疾患や脳卒中を誘発します。
無呼吸による低酸素状況を繰り返すことが、認知症の原因になるともいわれています。
サスは、自覚症状がない高血圧症や高脂血症などと同じで、検査を受けて初めて異常が発見されることがとても多い、生活習慣病の一つです。
睡眠時無呼吸はまさに寝ている時に出現する病態ですので、高血圧症や高脂血症と異なって昼間の検査では診断できません。無呼吸の程度を自宅で検査する方法(簡易無呼吸検査:保険適応で自己負担は5,000円程度)を受けていただきます。正確に診断するために、1晩入院してPSG(Polysomnography: ポリソムノグラフィ)検査が必要になることもあります。
ご家族や友人・同僚などからいびきや居眠り、寝ている間の無呼吸を指摘されたら、簡易無呼吸検査を受けてみましょう。
「もしかしたら?」と思ったら、早めの受診が肝心!!!
たかが“いびき“、されど“いびき“
あなたの“いびき“は大丈夫ですか!?
睡眠時無呼吸外来は予約制ではありませんが、待ち時間低減のため事前のご予約をお勧めします。
予約方法はお電話のみとなっておりますので、あらかじめご了承ください。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
いびき SAS外来 |
○ | ○ | 休診 | ○ | ― | ○ | 休診 |
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佐藤 誠
守谷いびき・無呼吸センター長
筑波大学名誉教授
山中 昇
和歌山県立医科大学名誉教授
2000年以降、一般の方向けに、いびき・睡眠時無呼吸に関する講演会や文章による情報提供を、行ってきました。2018年には、4回に亘って「眠りのよもやま話」を地方公務員向けに発行されている情報誌「ALPS」に掲載しました。
これらを編集し直して再掲するとともに、体と健康に関する様々な話題を「体のよもやま話」として連載して行きたいと思います。
頭は進化したが、顔は退化した あなたは、“いびき”をかくと言われていませんか? “いびき”は、熟睡している証拠などと考える人も少なくありませんが、大間違いです。無防備な睡眠中に“いびき”をかくのは、生存競争に明け暮れる野生の動物にとっては危険を伴う行為です。ですからヒト以外の動物は、“いびき”をかく …
夜が恐い 約20万年前に地球上に誕生した我々人類(ホモサピエンス)も、他の類人猿と同様に日中の明るい時に活動して食物を獲得(狩猟採取)し、夜は安全を確保できる場所(木の上や洞穴?)で寝ることが基本生活でした。2万年前頃から始まった農耕牧畜によって、集団での定住生活をもたらすようになってからも、昼間の …