医療法人 慶友会

中国の医療事情その1 ~中国の医療データ~

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中国の医療データをどう考えるか?

世界第2位の経済大国となった中国はその経済分野に関しては発展著しく、米中貿易摩擦などがマスコミを賑わしているが、その医療事情については意外と知られていないのではないだろうか。
少なくとも私はかなりの偏見をもっていた(過去形か、現在形かはまだ定かでないが、それぞれ50%というところか)。まだ記憶に新しいSARS(重症急性呼吸器症候群)の発症も中国だった。つい最近(2020年1月3日)でも原因不明のウイルス性肺炎患者が急増していると中国当局が発表しており、SARSの再流行が懸念されている。
日本で大きな問題となっている薬剤耐性菌についても、中国からの発表資料では日本より薬剤耐性率が低いことになっているが、そのデータをそのまま受け取っている日本の感染症専門家は少ない。

以前に中国の医師と話した際に、中国の医学データは5大都市(上海、北京、広州、天津、深圳)の大学附属病院あるいは総合病院からのデータ意外は信頼できないと言っていた。さらにこれらの中国で言う超一流の病院で診察を受けられる患者は14億の中国人のうち1〜2%に満たず、これらの患者は十分な栄養状態で、高度の治療を受けられる富裕層の人々なのでその医学情報は極めて偏っており、中国という国を代表するデータにはなり得ない。

今まで中国を訪れたのは、感染症関連の学会で香港と海南島であり、その後はあまり中国の医療に触れることがなかった。2019年11月に上海に隣接する蘇州市で開催された学会に招待され、まさに現在の中国の医療について多くの情報を得ることが出来たので本ブログで数回に分けて紹介しよう。

中国小児耳鼻咽喉科学会(蘇州市)で日本における小児感染症診療ガイドラインを講演

人口約2400万人の中国第一の都市、上海の夜景(対岸の宿泊ホテルから撮影、ピンク色のタワーが東方明珠塔)上海外灘から眺める浦東の超高層ビル群の夜景はどのガイドブックにも紹介されているが、次々と変わるイルミネーションはあまり趣味の良いカラーコンビネーションではない!