誕生日に海外の友人を想う

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4月は私の誕生日だ。
海外の友人達からバースデーメールが届いたが、今年は新型コロナウイルスのパンデミックのために、カナダビクトリアのアラン・ルーピン、ニューヨークのハワード・フェーデン、スイスチューリッヒのデービッド・ナダール、からはそれぞれの地域の状況などが知らされ、お互いに高齢になり、新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいぞと忠告の文章が綴られていた。来年の誕生日には「あの時はひどかったが、お互いに元気に乗り越えられたね」と言い合えることを祈っている。

アランはカナダアルバータ大学の耳鼻咽喉科教授で、私をレジデントとしてカナダに呼んでくれ、耳科手術、頭頸部手術の技術をたたきこんでくれた恩師である。英国のオックスフォード大学医学部を卒業し、英国、米国、カナダの医師ライセンスを取得してアルバータ大学医学部教授になった国際派で、彼のスタッフとして臨床経験を積んでいるときには、英国流のマナーと綺麗なクイーンズイングリッシュもたたきこまれた。
奥さんのエバはプロのピアニストで私の子ども達はピアノレッスンを受け、家内は料理を習ったりと家族ぐるみの付き合いができたのを本当に感謝している。大学を退官後はパリとビクトリアで交互に暮らしていたが、今は温暖なビクトリアで多くの時間を過ごしている。
アランもかなりの高齢になったので、今年は家族全員でビクトリアを訪れる予定だが、その意味でも新型コロナウイルスのパンデミックが今年後半には終息してほしいと心から願っている。

ニューヨークのハワードはニューヨーク州立大学医学部小児科教授で、カナダ外科レジデント研修の後に小児の感染症研究のためにバッファロー小児病院に留学したときのボスだ。
彼は奥さんとともにユダヤ系で、キリスト教とは異なる宗教観に触れる貴重な機会も得られた。彼との研究討論では、小児科医と耳鼻咽喉科医との考え方の違いを戦わすことが多く非常に刺激的であった。彼のメールはいつも非常にシンプルで、「元気か」「今は何をしている」「どうして引っ越したんだ」というようなほとんど1行か2行メールで終わる。最近のメールではニューヨークの新型コロナウイルス感染の惨状を少し長いメールで綴っていた。

チューリッヒ大学小児科教授のデービッドはバッファロー小児病院に留学したときの友人だ。誕生日が私と同日で、いつもどちらが先にバースデーメールを送るか争ったが、時差の関係でいつも私の方が先に出せるので勝ち。
デービッドはEBウイルス研究でも群を抜いていたが、その語学力には土肝を抜かれた。彼はスペインのバロセロナ生まれのためスペイン語は勿論、スイスの公用語のドイツ語、フランス語、さらにイタリア語を話し、研究室の公用語である英語は当然、ということで実に5カ国語を使い分けることができるマルチリンガルであった。
日本においてグローバル化が叫ばれ、(その中身よりも)英語力の高い人材が求められるような偏った傾向にややうんざりしているが、人とのコミュニケーションを考えたときに、デービッドのようなマルチリンガル(多言語能力)は実に魅力的で、うらやましい限りだ。

彼らとは今でもことある毎にメールのやりとりをしたり、国際学会や海外旅行で旧交を温めたりしている。人が生きる示唆を与えられたり、才能を開花させるのはほとんどが、“人との出会い” である。それも慈愛に満ちた人である場合が多いと深く感じている。

病院のスタッフから贈られた今年のバースデーケーキ 感謝、感謝!
チョコレートとはいえ自分の顔にナイフを入れるのはさすがにためらわれた

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