2008年東京医科歯科大学バージャー病研究グループおよびつくば血管センター附属バージャー病研究所合同スリランカバージャー病調査班報告書

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経済支援 文部科学省科学研究費、厚生労働省バージャー病研究班、バージャー病研究所
第1回班員
岩井武尚 (つくば血管センター・バージャー病研究所)
梅田 誠 (東京医科歯科大学歯学部歯周病学分野)
Dr.Rajakaruna G Amodini (同上 大学院生 スリランカ出身)

活動報告書

はじめに
この報告書は、2月16日より同25日までスリランカ・キャンディー市近郊のパラデニヤ大学医学部・歯学部を中心に行った調査の概要です。2月20日が国民の休日であった以外全日大学に赴き講演、診察、討論、プロジェクト案の見直し・作成などにあたりました。
その結果、歯周病と喫煙、歯周病菌とバージャー病との関連調査を進めることがかなり有用であり、わが国およびスリランカのバージャー病研究に資するところ大であろうという印象を持つにいたりました。

2008年2月16日(土)13時20分東京成田

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(右から、岩井、梅田、アモディニの各氏、出発直前)

19時30分コロンボ(スリランカ)着(現地時間)現地到着が夜で当日中にキャンディに到着することが困難なためコロンボヒルトンホテル泊。

2月17日(日)

9時30分コロンボヒルトンホテル発
13時45分キャンディMahaweli Reach ホテル着
19時30分歯学部ペラデニヤ大学教官のDr. Pradeepと会う、翌日の打ち合わせ。

2月18日(月)

9時30分ホテル発
10時ペラデニア大学着Dr.Pradeepと会う。Dr. Pradeepの上司歯科基礎学科長Dr. Jayanthaと面談。
10時30分外科Prof. Ratnatungaに会う。打ち合わせ、Discussion.

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左奥がRatnatunga教授(彼の部屋にて)

研究内容:スリランカおよび日本のバージャー病研究の概要の討論および説明
12時~外科病棟でバージャー病患者を診察。
24歳で足趾壊死があり、喫煙中、上肢にも病変あり 典型的なバージャー病と判断、翌日口腔内の検査することに決定。

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第3趾の壊死

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ベットサイドで血管造影所見を診る

13時30分バイオリサーチセンターでDirector と会う。日本からの試薬棚2段分の研究器材、試薬を持ち込んだ。

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血管外科カンファに参加

14時30分外科X-rayカンファレンス。静脈奇形のディスカッション及びコメント

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レントゲンカンファランスの風景(参加医師10人程度)

15時30分終了 国立のペラデニア植物園視察。
18時ホテル着
夕方、ホテルで翌日の患者のサンプルについて打ち合わせ。患者をどのように歯科に運び診察するかを打ち合わせた。Dr. PradeepにはじめDr. Ratnatungaから歯周病科に依頼して診てもらうように指示したが、歯周病科の教授が不在のため口腔外科で受診することにした。口腔外科主任は、Dr. Parakrama Wjjekoon.

2月19日(火)

9時30分ペラデニア大学着。ペラデニア大学歯学部長Prof. Prasad Amaratungeに会う。 続いて10時口腔外科主任、Dr. Parakrama Wjjekoonに会い打ち合わせを行った。
10時30分バージャー病患者No.1が車椅子で外科から口腔外科に来院した。口腔外科の診察台の上でドップラー検査を行いその後デンタルチェアで、口腔(歯周)検査を行い検査項目は、プロトコールに従った。採取サンプルは、唾液および頬粘膜を滅菌綿棒によって擦過して採取した。

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足関節圧の測定

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口腔内の歯周病診察

サンプル採取は、13時までかかった。
その後、郊外視察。
19時30分よりDr. Pradeep宅表敬訪問。家族と歓談。

2月20日(水)

スリランカ国民の祭日のため郊外視察及びタバコ習慣の観察及び材料の採取とした。

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近郊でみた喫煙者の足

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噛みたばこの材料をそろえる

(噛みタバコ、Beedi, Suruffu, cigarette, Betel, Asecant, Lime)の収集を行い、さらにDr. Pradeepと翌日の外科での講義準備と外来での患者診察の打ち合わせ。現地に合わせた新プロトコール改正案を作成した。

2月21日(木)

6時30分ホテル出発。 7時ペラデニア大学医学部着。
7時50分医学部講堂において講義。ジャーナルクラブの時間を当てての講義となった。バージャー病の総合的研究および歯周病に関する内容で、岩井および梅田による講演(9時20分まで)。参加者は50名ほど。

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医学部での講演会の様子

その後、全員で朝食。
13時30分より血管外科外来クリニックにおいてバージャー病患者の診察を行い、うち2名を検査対象として選択した。(ドプラ装置で診断、写真撮影)16時まで診察した。選択した患者に関しては、歯学部受診を予約。歯科のチェアーの空きがないため歯科受診を土曜日の朝に決定。
19時30分よりオフィシャルパーティーProf. Ratnatunga, Dr. Parakrama, Dr. Pradeep と研究打ち合わせ。改正した新プロトコール案について打ち合わせ。その時にProf. Ratnatungaにわれわれが持参したドプラ血流装置と血圧計を贈呈した。

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Ratnatunga教授にドプラ計と血圧計を贈呈

2月22日(金)

9時 ホテル発
9時30分 バイオテクノロジーセンター着。2月19日(火)に採取したサンプルを用いDr. PradeepにDNA抽出を指導した。

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バイロテクノロジーセンターにてDNA抽出風景、真ん中がPradeep先生

10時からDNA抽出を開始。サンプルのホモジナイズ及びインキュベーション。
実験途中の1時から2時まで歯学部講堂にて医学部同様の講義を行った。(岩井および梅田)
16時30分 DNA抽出完了。
19時30分 Dr. PradeepおよびDr. Parakramaと翌日の口腔診査およびサンプル採取について打ち合わせ。

2月23日(土)

9時 ホテル発
9時30分 歯科口腔外科外来にてバージャー病患者2名の口腔診査及びサンプル採取を行った。1人1時間半程度要した。また、患者に規定により謝礼を渡した。診査及びサンプル採取に13時まで要した。

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Pradeep先生の診察風景、書記はアモディニ先生

13時 昼食。
午後より郊外視察。賃金支払い証明書などをそれぞれの担当者より作成されたものを受理した。
20時~ 送別パーティーを宿泊ホテルにて開催した。
Pradeep夫妻、子供。ランジー(今回の現地での協力者)夫妻、子供。計9人。

2月24日(日)

9時15分 チェックアウト
9時30分~ 歯学部PradeepのOfficeで試料受取、歯科診査の協力者への謝礼の領収書受け取り。コロンボ空港へ向かった。 夜9時コロンボ発、

2月25日(月)

11時30分 成田着

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静岡上空より雪をいだく富士山を眺望した。事故なく、トラブルなく第1回調査を終了できた。

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