ハートラインNo.10 身体活動量アップで生活習慣病予防を

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【まずは堅い話】 わが国では、糖尿病、高血圧、高脂血症や、それに続発する脳卒中、心筋梗塞などの生活習慣病が増加し、大きな健康問題となっています。つい先日も厚生労働省から、「糖尿病と予備軍 成人6人に1人」という調査結果が発表されました。それによると、国内で糖尿病になっている人は約740万人、可能性を否定できない「予備軍」と合わせると約1620万人にのぼること、93.8%(n=5792)の人が「正しい食生活と運動習慣が予防に効果がある」という知識があったが行動に結びついていない事等が報告されています(H15.8.7 朝日新聞)。こうした現象は、日本だけの問題ではなく世界的な脅威となっています。先月出席した「東京国際健康スポーツ医学シンポジウム」(身体活動と運動をテーマとして、疫学、運動生理学、心理学など様々な分野における内外の専門家の身体活動に関する最新の研究成果の報告や、地域・国レベルでの推進策の紹介等が行われ、研究分野を超えた論議がなされました。)において、WHO西太平洋地域事務局のリンダ・L・ミラン氏は、2002年のワールドヘルスレポートの報告から、「世界中で成人の60%以上が健康上の利益を得るに十分な身体活動は行っていないと推定されている。」と話し、身体的不活動による疾病に起因する損失について強調し、身体的活動に高い優先性を与えていました。 食事や身体活動(運動)による生活習慣病予防は、もはや地球規模での課題となっているようです。 【身体活動・運動】 身体活動とは、身体を動かしてエネルギーを使うことです。階段の上り下り、家庭での掃除・洗濯など日常生活でのあらゆる身体活動や、趣味、余暇でのレジャー活動、ウォーキングや水泳などの運動、テニスやサッカーなどのスポーツまですべての活動を表現しています。 かつては、特別な運動をすることで病気が予防されたり、健康が維持されると考えられていましたが、最近では身体活動によってトータルのエネルギー消費を増やすことが大切だと考えられています。要するに連続で30分のウォーキングが無理ならば、10分のウォーキングを1日3回でもOKだということです。1995年、アメリカスポーツ医学会(ACSM)とアメリカ疾病予防センター(CDC)は、健康のための身体活動勧告を発表し、「すべての成人は健康増進のために、1回にすくなくとも8分~10分程度維持するような中等度の有酸素運動を1日に30分以上、1週間の内のほとんど毎日行うように」と述べています。(有酸素運動とは、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなど酸素を身体に取り込みながら全身の筋肉を動かす運動の事です。 【とにかく動こう!】 これが最も重要なポイントです。頭で理解していてもなかなか行動できませんよね。そこで、ちょっとしたコツを・・・ ①目標設定は控えめに・できることからはじめましょう  例えば、減量なら今の体重の5%減を目標に(実はこの5%でも医学的な効果は大です。)  歩数は今の歩数の10%増しから  ②小さい目標でも達成したら、自分にご褒美をあげる。  ③玄関の見えるところに運動靴を置く。  ④エレベーターは使わない・駐車場はあえて店から離れた場所に  ⑤失敗してもまたチャレンジしよう!という気持ちで始めるなどなど  「三日坊主は自分の意志が弱いから・・・」と決めつけず、目標設定の仕方や、スケジュールを見直してみてはいかがですか? 【おわりに】 フィットネスルームがオープンして、1年が過ぎました。利用している方も70人を超えています。「憩いの場所」にはまだまだ遠く、反省する事ばかりですが、少しでもみなさんのサポートができるよう、これからもベストを尽くします。

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